美容室でよく耳にする「髪質改善」という言葉。
髪質改善はテレビや雑誌などのメディアでも度々取り上げられている注目メニューのひとつです。
しかし、髪質改善はお店によってさまざまなやり方があるため、「どれが本当の髪質改善メニューなの?」と迷ってしまう人も多いでしょう。
この記事では髪質改善メニューについて徹底解説します。
髪質改善がどんなメニューなのか、施術の流れ、相場料金、持続時間などを知りたい人は参考にしてみて下さい。
髪質改善メニューを実際に体験した人の中には、テレビや雑誌で特集されている様子を見て「私が体験したものとやり方が違う」と驚くことがあります。
実は「髪質改善」というメニューに決まった定義はありません。
美容室が「これは髪質改善メニューだ」と命名すれば、どんなメニューでも髪質改善メニューとして売り出すことができます。
近年打ち出されている髪質改善メニューの多くは、「髪質を良くする」「髪を扱いやすくする」といった効果の期待できるものが多いです。
多くのメニューがあるため髪質改善の施術を受ける場合は、どのような施術なのかを事前によく確認するようにしましょう。
髪質改善にはサロンによってさまざまなメニューがあります。
今回は特に多く見られる3つのメニューについて紹介します。
髪質改善としての役割やメリット・デメリットも解説するので、自分に合った髪質改善を選ぶ参考にしてみて下さい。
雨の日にうねる髪や、汗で広がる髪は縮毛矯正による髪質改善で扱いやすい状態にできます。
髪のダメージを考えた場合、縮毛矯正は傷みが出やすいメニューです。
しかし、毎日ストレートアイロンを使用している人の場合は例外です。
縮毛矯正による髪質改善で、毎日のストレートアイロンが不要になれば蓄積ダメージを抑える効果も期待できるでしょう。
髪質改善と聞くと、トリートメントを想像する人も多いですが、前述の通り定義はありません。縮毛矯正による髪質改善は、くせ毛を改善し扱いやすい状態にするという役割があります。
縮毛矯正による髪質改善の問題点を挙げるなら「真っ直ぐになり過ぎる」「髪が硬くなる」といったイメージだと言えるでしょう。
しかし、知識や技術、経験を豊富に持つ美容師に依頼すれば髪を柔らかく自然に仕上げることも可能です。
縮毛矯正による
髪質改善のメリット
○くせ毛の髪質改善が可能!
○ボリュームダウンの効果が期待できる!
縮毛矯正による
髪質改善のデメリット
×比較的ヘアダメージが大きい
×美容師の力量によって仕上がりに差が出る
ダメージによって広がる、パサつく髪は、トリートメントによる髪質改善によって扱いやすい状態に近付けることができます。
トリートメントにもさまざまな種類がありますが、髪質改善として用いられる事が多いのは「酸熱トリートメント」と「PPTトリートメント」の2種類です。それぞれの特徴について詳しく紹介していきます。
酸熱トリートメントはグリオキシル酸などの薬剤を使って、髪内部を健康な状態に近付ける施術です。
健康な髪内部では、手を握り合うように繋がった結合が髪の内部を満たしています。
しかし、ダメージを受けた髪は、結合が切れてスカスカな状態です。結合が切れた髪内部は隙間ができ不要な水分が溜まりやすく、しっかりと髪を内部から支えられない状態になるため、本来のストレート状態に戻れなくなり歪んでしまいます。
ダメージによって髪がはねや、うねりが出てしまうのは、結合の断裂が原因です。
酸熱トリートメントは、薬剤とヘアアイロンの熱で疑似的な結合を作り出します。疑似的な結合でスカスカになった髪内部を補うことで、自然なストレートや艶を再現できるのが特徴です。
酸熱トリートメントをした髪は結合が整い、不要な隙間がなくなり水を含みにくい健康な「疎水性」という状態になります。
疎水性の髪は、収まりが良くなりヘアアイロン等の使用頻度を抑えられる他、入浴後も不要な水分を含みにくく髪が乾きやすくなります。
ドライヤーの使用時間が抑えられれば、日常的なダメージの軽減にも繋がるでしょう。
ただし、くせ毛の人は施術の際に注意が必要です。
クセ毛は元から髪の結合が歪むことでうねりが現れてしまう状態です。切れた結合を補っても、本来の髪以上のストレートになることはありません。
そのため、クセ毛の人は酸熱トリートメントの効果を感じにくい場合があるでしょう。
また、「トリートメント」という名前がついていますが、薬剤と熱を利用している分ノーダメージではないという点にも理解が必要です。
髪へのダメージを抑えた弱酸性の薬剤を使用しているので低ダメージではあるものの、酸熱トリートメントの必要性について専門知識を持つ美容師と相談するのがおすすめです。
日常的なダメージが軽減できて、トータルで髪に良い影響を与えるのかを吟味しましょう。
酸熱トリートメントによる
髪質改善のメリット
○自然で扱いやすい髪になる!
○回数を重ねるごとに持続力が増す!
○比較的低ダメージで施術できる!
酸熱トリートメントによる
髪質改善のデメリット
×クセ毛では効果を感じにくい
×カラーと同時施術すると退色する恐れがある
×独特な残臭がある
PPTとは髪を作るたんぱく質によく似た物質で、正式名称をたんぱく質加水分解物と言います。
PPTトリートメントは、髪本来のたんぱく質によく似た物質を使ってダメージした部分を修復するトリートメントのことです。
PPTトリートメントには、髪のハリやコシを作るケラチンやコラーゲンなどの成分も多く含まれます。
そのため、髪が細くてボリュームが出にくい人や、加齢によって髪にハリが失われてきたという人にもおすすめです。
一方で、PPTトリートメントは持続期間が比較的短いことに注意しましょう。小さい分子で成り立っているPPTは、髪内部へ浸透しやすい分、流出しやすいのが特徴です。
一般的な持続期間は約3週間ですが、髪内部の栄養流出を防ぐキューティクル層がダメージしてしまっている場合、さらに期間は短くなるでしょう。
PPTトリートメントによる
髪質改善のメリット
○ノーダメージで施術できる!
○髪にハリやコシが出やすい!
PPTトリートメントによる
髪質改善のデメリット
×髪の扱いやすさという点では効果を実感しにくい場合がある
×比較的持続期間が短い
髪を扱いやすくするメニューとして髪質改善カットを提供している美容室もあります。
多くの場合、通常のカットと違いはありません。
髪質を変化させている訳ではなく、カット技術による毛量調整やボリュームコントロールによって髪を扱いやすくすることを目的としています。
カットによる
髪質改善のメリット
○毛量が多くて広がりやすい状態を改善しやすい!
○ヘアダメージは、ほぼない!
○ヘアデザインに合わせて髪を扱いやすい状態にできる
カットによる
髪質改善のデメリット
×美容師の技量によって仕上がりや効果の感じ方に差が出る
×場合によっては希望よりも短くカットする必要がある
×他の髪質改善メニューと比較すると持続効果を感じにくい
続いては、髪質改善メニューの流れについて紹介します。
今回は髪質改善メニューとして主流になりつつある、酸熱トリートメントの施術手順を解説します。
酸熱トリートメントを施術する前に、シャンプーを行います。事前に汚れやヘアスタイリング剤などを落としておき、薬剤が浸透しやすい状態にすることが目的です。
シャンプー後、濡れた状態の髪にグリオキシル酸等の薬剤を塗布します。
根本から数ミリを除いて、毛先まで薬剤を塗布し、メーカーの推奨する時間を目安に放置します。
酸熱トリートメントに利用するグリオキシル酸は、髪に対してダメージを与える場合もあります。そのため、美容師がお客様の髪の状態に合わせて放置時間を調整します。
放置時間は約20~30分おくケースが多く、薬剤を充分に浸透させるため、加熱機で温める場合も多いです。
薬剤が十分に作用したら、一度お流しをします。お流しとは、シャンプー剤などを使わず、シャワーだけで薬剤をしっかりと落とす事です。
薬剤が過剰に反応してしまうのを防ぐため、しっかりと薬剤を落とし反応を止めます。その後、加熱処理をするため十分に髪を乾かしていきます。
乾いた髪にヘアアイロンを通して熱を与えます。
この時与える熱で、髪内部に浸透した薬剤を疑似的な結合に変化させます。
熱を与えた時点で結合が作られていくため、薬剤を塗布した部分にヘアアイロンを通したら酸熱トリートメントの施術は終了です。
加熱後は暫く髪が不安定な状態になるため、24時間は髪を濡らさないように気を付けましょう。
髪質改善メニューは施術内容によって相場価格や持続期間も異なります。
施術内容 |
相場価格 |
持続期間 |
縮毛矯正 |
1万5,000~ 3万円 |
施術した部分は半永久的に効果が持続する |
酸熱トリートメント |
1万~ 1万5,000円 |
初回施術では約1ヶ月効果が持続する場合が多い 施術回数を重ねるごとに持続期間が長くなると言われている |
PPTトリートメント |
3,000~5,000円 |
約3週間 |
カット |
3,000~6,000円 |
約3週間~1ヶ月半(ヘアスタイルなどによって変わる場合がある) |
髪質改善メニューは、美容室によって取り扱っている施術や価格もさまざまです。上記を目安にしながら、施術前には納得できるまでしっかりと説明を受けるのがおすすめです。
美容室で髪質改善を行うのも良いですが、まずは家でできるケアを行い日常的なダメージを抑えることも大切です。
最後に、家でできる髪質改善ヘアケアの方法を3つご紹介します。
日常的に使用しているシャンプーやトリートメントは、髪に大きな影響を与えるものです。
特に、シャンプーは洗浄成分が含まれている分、配合成分によっては髪に負担を与える場合もあります。
ハイダメージ毛の人ほどシャンプーを低刺激なものに変えるだけで、髪質の変化を感じやすくなるでしょう。
一般的なシャンプーの水素イオン指数(pH)は7.0程。ややアルカリ性に傾いているのが特徴です。それに対して、健康な髪のpHは4.5~6.5の弱酸性なので、アルカリ性のつよいシャンプーはダメージに直結してしまいます。
毎日使うシャンプーを、弱酸性であるアミノ酸系シャンプーに変えることで日常的なダメージを抑えることに繋がります。
さらに、サロン専売の高い性能を持つシャンプーを選ぶと髪質の変化を実感しやすくなるでしょう。
日差しに含まれる紫外線は、髪に対してダメージを与えます。紫外線ダメージは髪のたんぱく質に直接影響を与えてしまうため、パサつきや広がりの原因になることもあります。
その他、ダメージした髪はヘアカラーの色素を留める力が弱まってしまうため、退色を促すことも分かっています。髪の表面だけが色落ちしやすくなる人は、紫外線ダメージが影響している可能性が高いと言えるでしょう。
髪にも、肌と同じように紫外線ケアが必要です。紫外線カットスプレーなどを使って、日常的に紫外線ダメージを抑えるよう心掛けてみて下さい。
髪は摩擦ダメージに弱く、擦れることで髪表面のキューティクル層がダメージを受けてしまいます。キューティクル層がダメージを受けると、髪の艶がなくなり、内部の栄養流出を促してしまいます。
就寝中は、特に髪が寝具と直接擦れ、寝返りなどで強い摩擦が発生します。濡れた髪はドライヤーでしっかりと乾かし、就寝中の摩擦ダメージを抑えることで、日常的なダメージを抑えて綺麗な髪を保ちやすくなるでしょう。
就寝中の摩擦ダメージを抑えるには、寝る前にゆるくゴムなどで髪が摩擦しにくいようにまとめておく方法がおすすめです。髪をまとめてしまうことで、髪同士が擦れるのを防ぎます。
寝ている間に髪に型がついてしまった場合は、翌朝髪を濡らして洗い流さないトリートメントを塗布してブローしましょう。型を落としながら保湿することで、日中も潤いを保ちやすくなります。
話題の「髪質改善」ですが、美容室によってメニューもさまざまです。それぞれの特徴や、髪質に対する向き不向きを理解して施術を受けることが大切です。
誤った認識で施術を受けると「思っていた仕上がりにならなかった」など、トラブルを招く原因になります。
自分で分からないことがあれば、美容師に質問するのもおすすめです。施術の特性を知り、自分の髪に適したメニューを選んで、理想の髪質改善を行ってみて下さい。